キリスト教学校教育バックナンバー
キリスト教Q&A
クリスマス
宇野 緑
皆さんの学校においても、クリスマスに向けて様々な行事が計画され、ご準備を進めていらっしゃることでしょう。けれども中には、意味合いが詳しくわからないままご協力なさっている方もおられるのではないでしょうか。
そこで、今回は今さら聞き辛いなぁと思っていらっしゃるクリスマスにまつわるご質問に答えていきたいと思います。
Q1「クリスマス」の語源と日付の由来を教えてください。
A クリスマスの語源は、「キリストChristのミサmas(礼拝)」です。他の言語で言えば、フランス語のNoelとイタリア語のNataleは、「誕生日」を意味するラテン語から来ているそうです。ドイツ語ではWeihnachtと呼ばれ、これは「聖夜(キリストが生まれた夜)」という意味だそうです。
日付については、残念ながら正確な記録は残されていないため、由来は諸説あるようです。十二月二十五日説はローマから広まりました。ローマでは十二月の冬至に太陽を祭り、この日を境に勢いの弱まってきた太陽が再び力を取り戻し、光がよみがえるということを祝っていました。やがて、十二月二十五日を太陽神の誕生日と定め、イエスは「正義の太陽」、「世の光」と呼ばれていることから、のちに、初代キリスト教の指導者達が、異教徒との対立や摩擦を生むことなく異教徒にキリスト教を広めるために、十二月二十五日はクリスマスとされたといわれています。ロシア正教会などの東方正教会とコプト正教会は一月七日(ユリウス暦の十二月二十五日に当たる)に祝っています。
聖書ではマタイによる福音書とルカによる福音書にイエスの誕生物語が記されていますが、それぞれの共通部分と視点の違いを読み込んでいただくとさらにクリスマスが深まるのではないでしょうか。
Q2私の学校ではクリスマスツリーの装飾にとても力を入れていて、点灯式には大勢の参加者があります。ところで、そもそもどうしてツリーを飾るようになったのですか?
A ツリーには強い生命力をもって一年中葉を茂らせる常緑樹を使用されていると思いますが、その姿は永遠をあらわし、さらに神の永遠の愛や、イエスが与える永遠の命を象徴しています。由来は八世紀のドイツに遡るといわれ、彼らはカシの木を崇拝し、幼児犠牲を捧げていました。伝説によると、それを止めようとしてカシの木を切り倒したときに一本のモミの若木に変わる奇跡が起こったことから、それを記念するためにドイツではモミの木をクリスマスに植えるようになったそうです。
明かりをつけることを考案したのは、マルティン・ルターだと言われています。彼はクリスマスイブ礼拝の帰り道、森の中で常緑樹の枝の合間にまばゆく輝く無数の星を見ました。その美しさに心打たれ、それを子どもたちのために再現しようと、家の中に木を持ち込み、火を灯したろうそくを枝にくくりつけたそうです。それが、次第に色々なオーナメントが飾り付けられるようになったようです。ツリーの一番上の星は博士たちを導いた大切な星です。飾ることをお忘れなく。
Q3 クリスマス前の約一ヶ月月間をアドヴェントと呼んでいるようですが、意味を詳しく教えてください。
A 十一月三十日に一番近い日曜日から、クリスマス前の期間を「待降節」または「アドヴェント」といいます。「アドヴェント」とは「到来」という意味で、救い主の到来を心待ちにする期間です。この期間にはアドヴェントリース(クランツ)を飾り、四本のロウソクを立て、一週ごとにロウソクの灯火を加えていきます。この風習は一九、二十世紀ごろドイツで始まったと言われています。
ちなみに、恵泉女学園大学では、昨年度より大学統合した園芸短期大学から学び、アドヴェントカラーである紫を一本目、二本目で用い、もうすぐクリスマスが来る喜びをあらわすために三本目はオールドローズ、そして四本目は「いえいえ、もう少し心静かに」ということで紫に。そして、クリスマス礼拝では四本とも赤色に替え、全てに火を灯します。
こうして順に光を増し加えながら、この世に真の光として到来された主イエスの降誕を、心備えをして待つのです。
より豊かなクリスマスを迎えるためにも、日々の礼拝において心の準備を共にし、ご家族、ご友人とクリスマスを教会で過ごしてみてはいかがでしょうか。
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〈恵泉女学園大学キリスト教挙育主任〉
キリスト教学校教育 2006年12月号4面