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一般社団法人キリスト教学校教育同盟 一般社団法人キリスト教学校教育同盟

新たな時代におけるキリスト教学校の使命と連帯-いのちの輝きと平和を求めて-

一般社団法人キリスト教学校教育同盟 Association of Christian Schools in Japan Since 1910

Assocition of Christian School in Japna Since 1910

キリスト教学校教育バックナンバー

各地区の夏期行事
西南地区
今に生きる建学の精神

第46回新任教師オリエンテーション
第56回夏期学校

寺園 喜基

 標記の行事は、二〇〇六年は八月二日と三日に西南学院中学校・高等学校を会場にして開催された。

一 新任教師オリエンテーション

 初日午前の集まりには五十三名が参加。先ず「成長の秘訣?」という題で西南学院高等学校の坂東資朗先生が、朝の礼拝を担当した。建学の精神を語った先人、彼らを突き動かした神、大いなる使命に呼ばれている私たち、という励ましを頂く。

 続いて活水学院の野々村昇院長が「キリスト教学校の使命と喜び」という主題講演。先生の体験や現在学校がおかれている状況の分析を通し、リーダーとしての責任が持てる人間や、また知性・技術のみでなく品性を持った人間、さらに共生を使命としつつ、他人の喜びを喜べるような人間の育成、またその面での生徒の成長に立ち会うことが、キリスト教学校に働く喜びであり、教員は奉仕者である等、興味深く話してくださった。

二 夏期学校

 初日の午後から行われ八十九名が参加した。筆者が「石の板ではなく―今に生きる建学の精神」という題で開会礼拝。教員・生徒が学院・学校に属しているというよりも、逆に学院の方が一人ひとりに属していることを話す。

①激動の時代を生きた歴史に聞く

 主題講演は福岡女学院の理事長・院長の德永徹先生が二回にわたって担当してくださる。

 全体の主題と同じ題目で第一回目は、創立百二十一周年になる福岡女学院が、明治、大正、昭和、平成という激動の時代を乗り越え、学院のアイデンティティーを如何に保ってきたかを話された。パワーポイントを用いることによって言葉が視覚的にも膨らみを持つことを感じながら、個別的な一学院の歴史が普遍的な意味を持つことを教えられた。福岡女学院が日本ではじめてセーラー服の制服を作ったとか、宣教師たちの時代を先取りする生き方等にも触れられた。

 しかし先生の指摘された、昭和初期から顕著になり、太平洋戦争でピークに達したキリスト教とミッション・スクールへの逆風を、今日も私たちは忘れてはならないと思う。福岡県学務部は当時の德永ヨシ校長をたびたび呼び出し、皇国興廃の関頭に立って、聖書の授業は止め、寄附行為の中のキリスト教主義という文字を削除するように催促した。これに対して德永ヨシ校長は、「どうしてもキリスト教主義を取り去れというのであれば、学校を閉鎖するより他に道はありません」と言い切ったという。

 その後敗戦を迎えるのであるが、女学院はさらに戦後の困難な時期を乗り切らねばならないことになる。しかし創立以来の歴史を振り返ってみると、その中に神の大いなる愛と励ましを感じざるをえない。

②同墓人とその時代

 同墓人とは死後の墓を同じくする人、家族・親族のことである。二回目の講演で德永徹先生は祖父の德永規矩、その従弟の徳富蘇峰、蘆花、また一門の横井小楠、海老名弾正、湯浅八郎、竹崎順子、矢島揖子、久布白落美、德永ヨシ、さらに父・新太郎(九大教授)、母・喜久子(福岡県母親連絡会長)等の先祖たち、および先生の自分史を、日本の現代史と重ねながら話され、歴史に働く神を証しされた。聴衆一同は二回わたる先生の講演に深い感銘を受け、先生の初心の「主を覚えよ」を共に実感させられたのであった。

③グループ討議・他

 これは中・高グループと大学グループとに分かれて行われた。中・高グループは三つに分かれ建学の精神や主題講演について、各自の学校との関連について、多面的に討議した。大学グループは西南学院大学の深谷潤教授に「大学におけるキリスト教教育の可能性」という発題をいただき、それについて討議をした。出席者はそれぞれ熱心に討議に参加。全体討議は分団・グループの発表のみで、時間不足で討議には至らなかった。二日目の朝礼拝は坂東資朗先生、閉会礼拝は筆者が担当。

 最後に参加者にアンケートを書いてもらった。全体的に高い評価を得たので、これを次回へつないでいきたいと思う。参加者はもとより講演者、発表者、説教者、また裏方を引き受けてくださった担当事務局にも感謝したい。

〈西南学院院長〉

キリスト教学校教育 2006年10月号8面