キリスト教学校教育バックナンバー
東北学院中学・高等学校
小鶴キャンパス
松本 芳哉
東北学院中学・高等学校は、二〇〇五年四月から仙台市宮城野区の小鶴キャンパスにおいて授業を開始しました。小鶴キャンパスは、それまでの東二番丁キャンパスの約六倍の広さです。小鶴キャンパスは、仙台駅からJR仙石線で十分、小鶴新田駅下車徒歩十二分です。国道四号線バイパスの東側、JR仙石線の北側の田んぼの中に建っています。
東北学院は、百二十年前一八八六(明治十九)年ドイツ改革派の宣教師により「仙台神学校」としてスタートしました。六年目の一八九一(明治二十四)年校名を「東北学院」とし、普通科と神学科が併設されました。東二番丁キャンパスは約百年使用されましたので、小鶴キャンパスも百年使用を目指しています。
小鶴キャンパスの敷地面積は東京ドームの約二倍の九七、四〇五・六一平方メートル、建築面積は一七、三八一・六五平方メートル、延べ床面積は三六、四七〇・六七平方メートルとなっています。校舎の設計は日建設計、土地造成やグラウンド施設の設計は西松建設が担当しました。建築施工は前田、銭高、日本国土開発、橋本、奥田JVが行いました。施設内容は、礼拝堂、普通教室、特別教室、大教室、教員室、図書室、食堂、体育館、柔道場、剣道場、空手道場、レスリング場、体操室、トレーニング室、合宿所、弓道場、部室、雨天練習場、野球場、サッカー場、陸上競技場、テニスコート五面などです。工期は二〇〇三年四月から二〇〇四年十月ですが、グラウンドの造成工事は二〇〇〇年から始まっています。陸上競技場は、四百メートルトラック、フィールド内には投てき場、跳躍場を備えています。サッカー場は、公式サイズを持つ国内でもトップクラスの全天候型競技場で、ロングパイル人工芝を用いています。野球場は神宮球場並みの広さです。体育館は二層になっています。一階は武道関係、二階はバスケットコート四面取れる広さで、卓球、バドミントン、バレーボール、バスケットボールなどに使われます。
新校舎建築の基本構想は次のとおりでした。
一、キリスト教(精神)に基づく人格教育を建学の精神とする本校の教育目的、教育目標の具現にふさわしいものであること。
二、宗教教育、宗教行事等の実践にふさわしい気品と雰囲気があること。
三、一貫教育の実践にふさわしい機能と連絡性があること。
四、国際教育、情報教育の実践にふさわしい自発性や、自由な発想 を伸張させるものであること。
五、情報教育、感性教育、体育教育等豊かな人間性の陶冶にふさわ しいものであること。
六、一人ひとりの生徒、教師に配慮した開放的で、安らぎと親しみ を感じさせるものであること。
これに基づいて校舎の設計が行われ、キリスト教主義学校として毎朝礼拝の行われる礼拝堂を中心にし、南側に中学校の教室棟、北側に高等学校の教室棟を配置し、その間をつなぐように、管理棟、理科・美術・音楽などの特別教室を配置しています。礼拝堂には二千十八名座れる長椅子を設置し、壁には和紙入りの複層ガラスカーテンウオールが採用されていますので、堂内は大変明るくなっています。正面には三浦啓子氏によって、聖なるところから流れ出る神の川、水晶のように輝く命の水の川、その川の両岸に命の木が十二種の実を結ぶ様を表現した「聖なる光」と題する縦長のステンドグラスが設置され、礼拝堂の雰囲気を崇高にしてくれます。後部には東北学院の三L精神(LIFE , LIGHT , LOVE)を表現した丸窓があります。礼拝堂の横には鐘楼があり、朝夕鳴らしています。
各所出入口の段差をなくし、エレベーターや多目的トイレを設けるなど、仙台市の「ひとにやさしいまちづくり条例」に適合した施設になっています。
小鶴キャンパスで学んだ生徒が、地の塩、世の光として、世のため、人のために役立つ人間として巣立って欲しいと願っています。
〈東北学院中学校・高等学校校長〉
キリスト教学校教育 2006年3月号6面