キリスト教学校教育バックナンバー
第2分科会
国際理解とボランティア
森島 牧人
第二分科会のテーマは、「国際理解とボランティア」。内容は、奉仕の精神とその実践を切り口にした国際理解教育に関する森島牧人氏「歴史の検証 伝統の継承―関東学院国際サービス・ラーニングへの試み」(関東学院大学教授・キリスト教と文化研究所長)の発題と、島田正敏氏「国際理解と奉仕教育」(関東学院六浦小学校長)、および石塚武志氏「奉仕教育と祈り」(関東学院小学校教諭)の教育現場での事例報告であった。
発題の要旨―関東学院教育の特色は、「人になれ 奉仕せよ」との校訓の中に示される。この言葉は、<絶対者との真の出会いは、人をして他者への奉仕へと向かわしめる>というキリスト教信仰の神髄を的確に表している。真の神との出会いを教育の場に求め続けてきた本学院にとって、キリスト教教育の一貫としてのボランティア活動自体は取り立てて新しいことではない。むしろ本学院がその長い歴史を通して取り組んできたもの、つまりそれは関東学院の重要な伝統の一部である。しかし「特色ある教育」が求められる今日、この伝統を正規授業の中に位置づけ、建学の精神の内実化・活性化を目指そうとの教育プロジェクト構築は急務といえる。その観点から、関東学院の奉仕教育のモデルとも言える昭和初期の「関東学院セツルメント」を歴史的に検証・評価し、またその伝統の上に現在学院各校で取り組まれている関東学院国際サービスラーニングを以下紹介する。
事例報告①の要旨―タイのチェンマイ山岳地帯にはカレン族の住むチパレ地方がある。ダウ牧師は、家が遠くて学校に通えない子どもたちのためティワタ村に寮を建てたが、すぐに運営が難しくなった。本校では、一九九四年から支援活動を始め、二〇〇三年には新しい女子寮を建てることができた。児童三名が献堂式に出席して交流を深め、一昨年は「第二回タイ訪問団」が大学生のサポート隊とともにティワタ村を訪問した。関東学院では、本年八月に「関東学院サービス・ラーニングセンター」を建設する。大学「オリーブ・ブランチ」の学生が、プロジェクトチームを作り数回の現地調査を行い設計図も完成した。ここを拠点に関東学院の奉仕教育のさらなる発展が期待される。
事例報告②の要旨―一九五二年の設立以来、建学の精神「人になれ奉仕せよ」を具現化するための奉仕教育を実践してきた。今年新たに「アフリカ・ルワンダとの関わり」が加わった。関東学院とかかわりのある佐々木和之宣教師のルワンダでの働きや信仰から、子どもたちは、異文化理解、祈ることの大切さ、「人になれ奉仕せよ」の実践等を学んでいくだろう。先ず教師自身が関心を持つこと、共通理解と祈りをささげることが大切である。このルワンダとの関わりが、子どもたち一人一人に、学校生活での悩みや問題を見つめ直し、乗り越え、前進するため、また真の人となり、喜んで奉仕する者となるための絶好の機会となると信じている。
〈関東学院大学教授、関東学院大学宗教主事〉
キリスト教学校教育 2006年1月号2~3面