キリスト教学校教育バックナンバー
山形学院
新キャンパス落成
北垣 俊一
学校法人山形学院はこの度、創立百周年記念事業として礼拝堂と校舎棟の建設を完了しました。創立百周年は二〇〇八年(平成二十年)ですが、それに先だって記念事業を遂行しました。礼拝堂の建設は一九七〇年(昭和四十三年)以来、理事長をされている佐藤利吉氏(現在九十五歳)の長年の願いであり、校舎棟は校舎の老朽化、今後の教育の展開に向けての建設でした。
山形学院の歴史に触れておきます。
山形学院は一九〇八年(明治四十一年)森谷たま女史によって創設されました。女子のための実学的な教育(裁縫伝習所)の学校としてスタートしました。以来一九七一年(昭和四十六年)まで女学校としての歴史を刻んできました。明治期、官尊民卑、男尊女卑の強い山形で森谷女史はいち早く女子教育の先鞭をつけられました。
一九四八年(昭和二十三)山形精華高等学校
一九六三年(昭和三十八)旧本校舎・四階建て建設。この度の新校舎建設に伴い解体した
一九六六年(昭和四十一)教育理念をキリスト教に置く
一九七二年(昭和四十七)男女共学
一九七三年(昭和四十八年)校名を「山形学院高等学校」と変更
一九八五年(昭和六十年)キリスト教学校教育同盟に加盟
このたびの礼拝堂・校舎棟は旧校舎の北隣に取得した二千二百坪の土地に建設しました。
記念事業とはいえ、教職員にとってまたとない大事業でした。新キャンパス建設にあたり、教職員は、校舎棟は生徒にとって明るく快適な教育環境になるもの、礼拝堂はキリスト教学校の教育の基盤であり、多様な活動ができるものにすることで一致しました。二〇〇二年四月、校内に建築委員会を設置し、そこが中心なって教職員の合意形成を図りました。校舎棟の構想には学校建築に深い見識を持たれている上野淳教授(東京都立大学院建築学専攻)の指導と助言を受けました。
設計・監理を一粒社ヴォーリズ建築事務所に依頼。何度も図面を書き直しがあり、二〇〇三年十月に最終設計図が完成。総工事費二十億円。校舎棟は二〇〇四年五月に着工、二〇〇五年二月末に完成。礼拝堂は二〇〇四年九月に着工し、二〇〇五年八月末に完成。施工は戸田建設株式会社。
新キャンパスについて
校舎棟は南棟四階、北棟三階の構造です。南校舎棟の北側に一階のエントランスホールに向かって約四十メートルの通学路があり、左右に十二本の桂を植えてあります。
南棟一階、広いエントランスホールの両サイドにはラーニングセンターと生徒ホールがあります。ちなみにエントランスホールは二階から四階まで吹抜けになっています。ラーニングセンターは図書館とIT機器とを合わせ、閲覧机も二クラスが同時に使えるものです。スペースは八教室分に相当し、吹抜けの開放的な空間となっています。
生徒ホールは二教室分で生徒のくつろぎの場になるものです。本校は総合普通科・情報創造科・調理科と三学科があります。普通教室以外にも情報科には二コンピュータ室、調理科の三実習室が設置されています。その他に四つの教科教室とゼミ室を設けました。
三メートル幅の廊下を挟んで教室が並んでいますが、その仕切壁は木を使い、ロッカーも合板木で暖かさが出ています。教員には共通の職員室、これを校務センターと呼ぶものと教科研究室を設けています。全体としては明るい校舎棟になっています。冷暖房完備。なおトイレ用の水は雨水を利用。礼拝堂はベンチ九百二席です。現在生徒は九百四十名在籍していますので、すこし補助椅子を使います。礼拝堂内はフラットで扇方の構造でなっています。ロジャーズ社の電子パイプオルガンを導入しています。礼拝堂には二十メートルほどの塔があり、その先端に十字架がつけられ、夜にはライトアップされ、よい景観を作り出しています。
新キャンパスにはヴォーリズ社の暖かさを基本とする建築理念が十分反映されています。
〈山形学院高等学校校長〉
キリスト教学校教育 2005年11月号4面