キリスト教学校教育バックナンバー
北の地における連帯をさらに深め合う
北海道ブロック研究集会
浅野 純
二〇〇四年度の北海道ブロック研究集会が三月二十二日、北星学園大学を会場に開催された。
中学・高校・大学全てを参加対象とする、全国的にも珍しいこの北海道集会であるが、全ての同盟校、中学から大学までが共通のテーマで学びのときを与えられていることに大きな意義がある。
加えてそれぞれの現場での教育の課題を理解し合うことは、昨今の同盟の共通研究テーマである「重荷を担うキリスト教学校」や「人をはぐくむキリスト教学校」を具体的に展開していく上での示唆および必要な力を受け取る大切な機会となっている。
遺愛女子中学・高等学校聖書科の江間紗綾香教諭による開会礼拝からプログラムが始まった。「伝えること・つながること」と題して、サムエル記上第二十六章22~24節をテキストに、教師は神の思いを伝える務めを担っているとの視点に立ち、自身のYWCA顧問としての経験を通してその務めの困難さ、重要さを語るメッセージが伝えられ、説教題の通り参加者が「伝える者としての使命」を強く感じさせられた。
今回のメインプログラムは、「宇都宮仙太郎に学ぶ」と題された酪農学園大学短期大学部学長の安宅一夫教授の主題講演である。
「日本酪農の父」と呼ばれる宇都宮仙太郎は、北海道に酪農を起こし、初めての地上型サイロを有する本格的な搾乳牧場を開いた酪農業の「産みの親」であるだけでなく、その黎明期に牛乳販売やバター製造、輸入種牛による品種改良など、近代酪農の基礎を築き、有畜農業の普及指導を通して後継者育成に努め、さらには北海道酪農販売組合(雪印乳業の前身)を創立した「育ての親」でもあった。また彼はキリスト教信徒として農村伝道に力を注ぎ、多くのクリスチャン酪農家を育てた人物としても有名である。詳細にわたる質問に参加者の寄せた関心の深さが伺え、また、安宅教授はまるで自身の親を語るかのように活き活きと応答された。
このブロック研究集会では「北海道キリスト教人物史」とのシリーズで毎回講演を通して北海道における著名なキリスト者の功績と人物像に触れてきたが、汲めども尽きない泉のように多くの信仰の先達が北の地において歴史を担ってきたことに今回も感慨を深くした。
昼食をはさんで午後は各学校報告が行われ、それぞれの現況と課題を分かち合い、交わりと相互理解を深めた。
同盟各ブロックの全国の動き、部会それぞれの報告が教育研究中央委員よりなされ、閉会礼拝はとわの森三愛高等学校の栄忍宗教主任から、テサロニケの信徒への手紙一の第五章12~15節をテキストに、「祈り」との題で教育に携わる者として真に見つめるべきものを見つめ続けていくことの大切さが述べられ、特に「馴れ」に陥ってはいないかを絶えず自己検証し、保守的な部分を打破していくことを恐れてはならないとのメッセージを受け、一同励まされて会を終えた。参加者、三法人六校、三十一名。
〈北星学園女子中学・高等学校宗教主任〉
キリスト教学校教育 2005年6月号4面