キリスト教学校教育バックナンバー
聖ステパノ学園新講堂
「海のみえるホール」
小川 正夫
学校のあるところ
JR東海道線大磯駅前に欝蒼と茂る凡そ一万坪の森の中に、聖ステパノ学園があります。
正門を入り右に折れると山裾のキャンプ場のような木造の小さな建物、チャペル、幼稚園、小学校の校舎が並んでいます。
左手つづら折の丘の径を登っていくと、中学校の校舎があり、木々の緑の中から相模湾を一望できる新講堂「海の見えるホール」が建っています。
そして創立者・澤田美喜記念館、聖ステパノ礼拝堂がその奥に並び、百三十名のこども達と三十名の教職員が活き活きと生活しています。
「海のみえるホール」
様々な行事、自己表現の場でもある旧講堂が手狭になり、老朽化も伴い、安全面からも改築が必要となり創立五十周年を機会に建て替えることになりました。
この半世紀の間、社会福祉の働きと、特別支援教育一環として、地域社会をはじめ神奈川県からも多くのご支援を頂く中で学校運営をしてきました。
この建築を機会に、恵まれた立地条件を活かし、小規模ではありますが、講堂を聖ステパノ学園だけの使用にとどまるだけでなく、地域社会の文化交流の場としても積極的に提供し、利用して頂けるようなスマートな駅前ホールにと考えました。新しい時代に向かって、広い視野で教育と社会福祉との接点を考え、役立ちたいと願っています。
建物は昨年秋に完成
鉄筋造り地上二階建て、建築面積三三六平方メートル、延べ面積三九二平方メートル、二百席のスマートなファミリーコンサートにも利用して頂けるような小規模ホールです。
「海のみえるホール」は、願いに「光の子らしく歩きなさい」をおき、エントランスホールにはイコン調の同じテーマの絵と文字が浮き彫りになっています。礎石にも同じ言葉が記されているように明るいホールになりました。
内部は全面ガラス張りの正面ステージから、木々の緑の向こうに相模湾の渚が大きく広がり、遠く江の島、三浦半島が見えます。座席後部もガラス越しに緑が明るく映ります。
内装は周囲の森に合わせた木調で、座席もすべて木製、コロシアム様の階段式になっておりますが、車椅子の方々にもご来場頂けるよう、前列は移動式になっています。
早速、大磯町教育委員会の後援も頂き、新日本フィル、ベルリンフィル公演の二回チャリティーコンサート、高校教諭音楽研究部の発表、そして地域の音楽愛好家の皆さんが発表会に利用してくださり、大変ご好評を頂いております。
音楽会はもちろん、様々な催し等、地域の大切な文化交流の場としても広い視野で地域社会と教育と福祉の接点を建設的に見つめていきたいと思っています。
〈聖ステパノ学園長〉
キリスト教学校教育 2005年6月号4面