キリスト教学校教育バックナンバー
関東地区
学校公開研修会
水口 洋
去る六月二十二日に、関東地区中高部会の主催で、第一回学校公開研修会が玉川聖学院(東京都世田谷区・バーナード・バートン学院長)を会場として実施された。礼拝から始まる一日の学校生活と授業を公開することで、互いに研鑚を積むことを目的とした研修会であったが、前日に台風の接近が心配された天候であったが、当日は夏を感じさせる気候の中、遠く四国からの参加もあり、東京・神奈川・千葉・茨城・埼玉・群馬・静岡と各地から二十五校、六十名を越える参加者があり、充実した研修会を開催することができた。大変有意義な情報交換の場ともなった。
この研修会の目的は、主催者挨拶の中で平塚敬一氏(立教女学院中高校長)が述べたように、「少子化の大波をかぶっている危機の時代にあって、キリスト教学校に勤める者が、危機意識を共有しつつ、この時代に仕えて共に重荷を担い合うこと」の一環として計画された。平塚氏は「教育実践の中身を知り合うことを通して、互いに研鑚し合う場を提供しあうことが、より良いキリスト教教育の方向性を探求することにつながる」ことであり、「ごく普通の学校生活を公開し合うことを通して、互いに学び合おう」とこの会の主旨を語った。
当日は、朝の礼拝(中高別の礼拝)に分散して参加した後、全体会がもたれ、主催者挨拶(前述)に続いて、会場校のバートン学院長より、「玉川聖学院の宗教教育の実際」が報告された。
その後、午前中三時間の授業公開が行われた。中一から高三まで、聖書や総合学習としての人間学をはじめとして、英語・数学から音楽・美術・体育にいたるまで、ほとんどすべての教科の「普通の授業」のありのままの姿を自由に見学した。昼食時間は交流の時間となり、各校の現状を披瀝しあった。生徒たちの昼休みの様子なども見学した。
午後は分科会がもたれ、宗教・教務・進路・綜合学習・カウンセリング等の課題についての各校の情報交換と報告の時をもった。どのグループも活発な議論が行われ、予定した時間が短く感じられた。その後、懇親会をもって解散となったが、充実した研修の時を持つことができた。
参加者の多くは、大変肯定的な感想を残していた。「同じキリスト教学校とはいえ、意外なほどに違いに気づかないまま、良いアイディアを逃しているようなことがあったらもったいないですから、このような会はとても貴重でした」という声があったが、ちょうど外国へ行くことで自国について改めて認識できるように、このような同じキリスト教主義に立つ他校の日常生活に触れることで、それぞれの学校の置かれている現状、長所と欠点を見直す良いチャンスになったようであった。その点で、「整えられた公開研究授業」ではなく、マイナスも含めて、ごくありふれた日常生活をそのまま見学し、生徒たちの姿に接することは、キリスト教学校の教育を実践していく者として、多くのヒントに気づける意味深いものになると思われる。今後、アンケートの多くに書かれていたように、継続的に各校持ち回りで、この種の研修会を継続していけたらと願っている。
〈玉川聖学院中高部教頭〉
キリスト教学校教育 2004年9月号8面