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新たな時代におけるキリスト教学校の使命と連帯-いのちの輝きと平和を求めて-

一般社団法人キリスト教学校教育同盟 Association of Christian Schools in Japan Since 1910

Assocition of Christian School in Japna Since 1910

キリスト教学校教育バックナンバー

第49回小学校教職員協議会

主題「人をはぐくむキリスト教学校」

仲井 宣雄

 六月十九日(土)、湘南の明るい陽光が降り注ぐ梅雨の晴れ間、平和学園小学校を会場に、第四十九回小学校教職員協議会が開催された。参加者は総勢二百七十六名(参加十六校、幼稚園から三名)が集まった。

 開会礼拝は、平和学園創立者の初代理事長賀川豊彦、初代学園長村島帰之を記念する賀川村島記念講堂で、パイプオルガンの重厚な音色にリードされて厳かに行われた。説教は夏村充学園長が、「野の花がどのようにして育つのか、注意して見なさい」と丘の上で人々に静かに語られたイエスの言葉について話をされた。イエスは群衆に、神の創造の世界をまるごと教材として、観察し、注意し、考えて見ることを教えられた。そこにはふだん学校教育中では削られている大切なもの、選別されたものではなく人間をまるごと大切にするイエスの姿勢をみることができる。キリスト教教育に携わる者は、このイエスに倣って、神が造られた世界の中で、教育し、生活している、という実感が教育の根底になければならないと語られた。

 次に開会の挨拶を、体調不良で欠席の田中司委員長に代わって樋口善一委員が、また、会場校の中山洋司小学校長が「人をはぐくむキリスト教学校」の主題のもと、それぞれ実りある一日になるようにと話をされた。

 続いて舞台中央にピアノが設置され、音楽家であり平和学園小学校の双子のお子さんの保護者である秦万里子(はたまりこ)氏の「音楽がはぐくんでくれたもの、結論としては言葉で表せないもの」と題して、ユニークな講演が行われた。初めに会場の参加者が選曲した讃美歌を五曲メドレーで演奏し、会衆と一体となる楽しい雰囲気を創り出し、次にピアノを弾きながら自分のプロフィールや音楽との関わり、母としての思いなどをユーモアたっぷりに語られた。日頃、音楽と疎遠な者であっても、自在な編曲と即興によるジャンルを問わないピアノの小刻みな演奏と、率直で軽妙な語り口に、思わず引き込まれて九十分間があっという間に過ぎていった。

 圧巻は講演の残り十五分間、会場の参加者全員の名前をもりこんだ歌を学校別に即興で作り、ピアノの曲に載せて見事に二百七十六名の名前を歌いきった。最後に秦氏作曲の平和学園のオリジナルソングに新しい歌詞をつけて、「二00四年六月十九日に集まったキリスト教同盟校の先生方の歌!」を全員で歌った。

 弾いて、歌って、喋る秦氏の講演は、元気が与えられ、会衆全体が響き合い、人と人とが共鳴しあい、分かち合うことのすばらしさを教えてくれるものだった。

 講演後の昼食会場には、平和学園小学校全児童による心のこもった作品のおもてなしがあった。茅ヶ崎の避暑地を再現したという、会場のアリーナの高い所から帯状に吊された無数の涼しげな水色の風船と海の生き物たちが、小さく揺れてとてもさわやかだった。

 午後からは、信仰をはぐくむ、創造性をはぐくむ、知恵をはぐくむ、奉仕する心をはぐくむ、からだをはぐくむ、のテーマで聖書科、低学年、高学年の十一分科会に分かれて、それぞれの学校の実践報告と話し合いが行われた。分科会の内容は次の通りである。

①「聖書科授業の実践」
②「感性をはぐくむ教育」
③「劇、聖劇・授業を通して」
④「聖書の御言葉によってはぐくむ知恵」
⑤「死別をいかに受けとめるか、そのきっかけづくり―具体的プログラムを練ってみませんか―」
⑥「上級生とのかかわりを通して」
⑦「見て学ぶ」から「奉仕へ」
⑧「タイカレン族への支援について」
⑨「自分の生活を点検する保健の授業」
⑩「体験学習から学ぶもの」
⑪「めざせ三四郎―スポーツタイム一年間の歩み」

 各分科会で発表された成果と話し合いが、各学校で発展的に生かされることを期待する。

〈横須賀学院小学校教頭〉

キリスト教学校教育 2004年9月号8面