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一般社団法人キリスト教学校教育同盟 Association of Christian Schools in Japan Since 1910

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キリスト教学校教育バックナンバー

東北・北海道地区 教育研究集会中高部会
東北の秋、実り豊かな研修

浅野 純

 十月三十日から十一月一日にかけて、山形県米沢市を会場に、二〇〇三年度の地区教育研究集会中高部会が開催された。開会礼拝で「神の言葉が学び舎に受肉するように」との題で、内にキリストが形づくられるキリスト教学校であり、またわたしたちでありたいとのメッセージを基督教独立学園高校校長の助川暢先生から与えられ、プログラムが始まった。地区代表理事の東北学院院長倉松功先生の挨拶後、講師に迎えた二宮信一先生による講演が行われた。

 「これからの教育を考える―軽度発達障害への対応を視野に入れて」と題された北海道YMCA学習障害教育開発研究室室長を務める二宮先生の、キリスト教学校としての働きと存在意義を問いかける深い内容の講演によって、軽度発達障害の概念と特別支援教育の必要性を学ぶことと併せ、わたしたちが実状を認識し課題として取り組むことが、教育の在り方そのものを考えていくことに結びつくことを確認した。とりわけ対人関係や社会性について多くの困難を抱え持つ生徒をどのように受け入れていくかという課題への取り組みは、「健常」な状態との連続性のなかに存在する軽度発達障害の生徒と共に学校生活を過ごすために欠くことのできないものであり、それはとりもなおさずこの研究集会の主題である「キリスト教教育の本質と課題」と深く関わるものであることを認識させられた。参加者は二宮先生の講演の、結びの「教育とは協育・共育・響育…である」との言葉を深く心に刻んだ。

 夕食後の聖書科部会では、継続している「今、聖書の授業」というテーマのもとで、北星学園余市高校の塩見先生から、特色ある教育を行っている余市高校の紹介を通して話題提供を受け、各教師が担っている聖書科教育の在り方、目指す事柄についての意見交換を行った。

 二日目の朝の礼拝では宮城学院中学・高校の伊藤香美子先生が「わたしたちのなかに現れる神のわざ」を、学校での自身の経験を通して証された。マイナスと思い込みがちなことが実は大きな恵みであることを互いに確かめ合う励ましを受けた。

 恒例の学校訪問は当番校の基督教独立学園である。例年であれば当番校の学校礼拝参加から二日目のプログラムが始まるが、移動時間の都合から礼拝・朝食後に出発、「こういう機会でなければ訪ねられない学校だから」との参加者の期待の大きさに応えるかのように、目の醒めるような紅葉の山々が一時間以上にわたって車窓に迫る。山と校舎とを背景に記念写真。午前中は酪農学園とわの森三愛高校、尚絅学院女子中学・高校、東北学院榴ケ岡高校の三校の学校報告が行われた。今回も各校の教育活動を具体的に知らされ、多くの話題を提供されつつ、課題を共有することができた。

 昼食は独立学園の生徒たちとの「愛餐会」。テーブル毎に三~四人づつの参加者が生徒たちと同席し、芋煮なべを中心とした秋の味覚に大満足。学年毎のコーラスはまさに独立学園ならではの歓待行事である。声量豊かな讃美のハーモニーが交わりの食卓に彩りを添える。食後は生徒たちとの交流のひとときを与えられ、学校紹介のあとに企画された質疑応答形式による生徒との対話では、参加者の質問に、時には照れながらがらも活き活きと自信を持って応える生徒の姿に、創設以来の自治独立の精神が感じられる。自然環境に恵まれた校舎を見学してからバスに乗り込み、米沢に戻る。

 最終日は北星学園大学付属高校の横田法子先生の礼拝で始まり、大切なものは「主への信頼」であり、わたしたちの成長はすべて主が担ってくださるとの励ましを受け、プログラムを締めくくる全体会議へと続く。各報告と研究集会に関しての意見交換を行い、次年度の開催日程と当番校を決定し、東北学院榴ケ岡高校の杉本勇先生による閉会礼拝においてキリスト教教育を担う使命と課題を互いに共有し、果たし続けていく決意を促されつつ、地区担当理事・北星学園理事長の杉本拓先生の閉会挨拶をもって日程を終了した。

 今回は二泊三日間をフルに活用するプログラムであり、自由時間も僅かしかないなかでのハードスケジュールであったが、懇親会においての宮城学院院長、深谷松男先生の挨拶にも込められていた通り、「新しい生命を吹き込まれる思いで満たされる」研究集会であった。平常の日程を変更して特別に歓迎のセレモニーを用意してくださるなどのご尽力を頂いた当番校の基督教独立学園高校に感謝。

〈北星学園女子中高校宗教主任〉

キリスト教学校教育 2004年1月号4面