キリスト教学校教育バックナンバー
ヴォーリズ精神を継承して新しい学園づくりを
岩原 侑
ウイリアム・メレル・ヴォーリズは1905年に来日し、近江兄弟社を興しました。間もなく100周年を迎えますが、私たちはヴォーリズ精神を日々新たにし、前進を続けたいと思います。どうか一層のご支援ご鞭撻をお願い申し上げます。感謝
1.ヴォーリズは1905年、滋賀県立商業高校英語教師として赴任しました。放課後、下宿で行うバイブルクラスには40名以上の生徒が集まったといいます。しかしそれが裏目に出て、ヴォーリズは契約を更新されることなく、収入の道を閉ざされてしまいます。
2.ヴォーリズは教職を解かれても日本にとどまり、伝道を続けました。1908年、建築設計事務所を設立。各地の教会、YMCA、キリスト教学校を設計しました。
3.1914年、伝道船ガリラヤ丸を建造し、湖国の伝道に努めました。ガリラヤ丸は病人を搬送することもしばしばあり、無医村の人々にとっては命綱でもありました。
4.1919年、建築の取り持つ縁で、一柳満喜子(ひとつやなぎ・まきこ)と出会い、明治学院チャペルにて結婚しました。満喜子は子爵・一柳末徳の三女として出生、神戸女学院卒業後、米国プリンマー大学にて教育学を修めました。
5.1920年、満喜子夫人が地域のこどもたちのためにプレイグラウンド清友園を開始、22年、滋賀県より幼稚園として認可されました。
6.1931年、米国メンソレータム社創業者ハイド氏一家の寄付により、園舎を建設しました。同園舎はヴォーリズの設計、清水組により建設され、1988年文化財に登録されました。
7.2002年、学園は80周年を迎え、高等学校舎と幼稚園舎を建設しました。いずれもヴォーリズデザインを継承しています。
8.現在、近江兄弟社学園は、高等学校、中学校、小学校、幼稚園に約1600名が在籍しています。
9.近江兄弟社グループは、一粒社ヴォーリズ建築事務所、メンタームの株式会社近江兄弟社、財団法人近江兄弟社の経営するヴォーリズ記念病院と老人保健施設、老人ホームを経営する社会福祉法人および学校法人近江兄弟社学園とから成っています。
〈近江兄弟社学園理事長〉
キリスト教学校教育 2003年6月号3面