キリスト教学校教育バックナンバー
フェリス女学院中学高等学校
他者と共に生きる
松島 正雄
本校ではすでにアンケートでお答えしたように、ボランティア活動としては中学3年生による児童養護施設の聖母愛児園(学校から徒歩5分位)での奉仕活動が主となっています。
今から二十数年ほど前に当時の中学三年の学年から有志という形で、自分たちで何かできることをしていこうということで出発しました。有志といっても、学年の4分の3以上の人たちで、それが現在まで引き継がれてきています。
学校としても、毎年秋に奉仕週間を設けて、実際に社会福祉事業やボランティア活動をしている現場の責任者の方々を招いて礼拝形式でお話を聞き、弱い立場の人々への理解を深め、他者と共に生きることの大切さを学ぶ機会としています。しかし更に願うことは、講演を聴き学ぶだけでなく、そこから実践していく生徒が出てくることです。そういう中でのことなので、学校としてはこの取り扱いを大事にしています。具体的には中学3年の担任が顧問として、また、生徒の中から奉仕委員として十数名を選出、中学2年の12月頃から準備を始めます。特別な時(テスト期間、夏休み、冬休み、旅行週間等)を除いて、毎週土曜日の1時から5時頃まで特に教師の付添はなく、先方と連絡を密にして次のような手伝いをさせて頂いています。靴洗い、庭や玄関の掃除、ティッシュたたみ、窓拭き、幼児部の子どもたちとの遊び、スリッパ拭き等です。
以下、最近報告された奉仕活動の報告の中からその一部を紹介します。
中学2年の終わり頃、二十年ほど前から引き継がれている奉仕活動を、私たちの学年が引き継ぐかどうかを話し合い、みんなの意見を聞きました。そのなかでは、今しかできないからやってみるのもよいのではないか、良い経験になる、求められているのなら行くべきだ、という意見がある一方、休日(土曜日)は休みたい、一方的な自己満足なのではないか、子どもは苦手だ、などという意見もありました。
幾度かの話し合いを重ねて、私たちの学年も奉仕活動を引き継ぐことに決めました。
春休みに入ってから引き継ぎのため、奉仕委員が前年度の奉仕委員の先輩と一緒に聖母愛児園へ行き始めました。仕事はいろいろありましたが、子どもたちが仕事を手伝ってくれたり、元気に遊ぶ姿を見て、このような仕事でも喜んで頂けるなら奉仕を引き継ぐことに決めて良かったと思いました。
四月に入り、順番に一回、六人位で行き始めました。みんながどんな気持ちで愛児園に行っているのか、いやな気持ちで仕事に取り組んでしまわないかということを調べるために、奉仕を経験した人にアンケートを書いてもらっています。アンケートにどのような意見が出るか不安でしたが、子どもたちと遊ぶのが楽しかった、子どもが好きになれた、最初は嫌だったのに、帰るときにはすごくいい一日だったと思えた、という感想が多く見られたので、とても安心しました。
最後に、奉仕というのは自分が他人から受け取ったり、与えられた恵みを自分のできる範囲でお返しするものだと思います。また、奉仕することで自分自身が何かを受け取ることがとても多いということをこれまでの奉仕活動を通して感じました。
〈フェリス女学院中学高等学校教諭〉
キリスト教学校教育 2003年4月号3面