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一般社団法人キリスト教学校教育同盟 一般社団法人キリスト教学校教育同盟

新たな時代におけるキリスト教学校の使命と連帯-いのちの輝きと平和を求めて-

一般社団法人キリスト教学校教育同盟 Association of Christian Schools in Japan Since 1910

Assocition of Christian School in Japna Since 1910

キリスト教学校教育バックナンバー

聖書のことば

松原 恵美子

 わたしの神は、御自分の栄光の富に応じて、キリスト・イエスによって、必要なものをすべて満たしてくださいます。     (フィリピ4・19)

 二〇〇二年夏に、フィリピンスタディツアーに参加する機会があり、マニラとセブに行った。セブは地方自治体として日本から有償でODAプロジェクトを受けており、市が経済的に破綻しかけている。そのODAプロジェクトは、海を埋め立て、湾岸道路を建設するというものだが、地元住民には、何の利益もない。利益どころか住民は、立ち退きを迫られ、生活基盤である漁場を失い、海が澱みそのために劣悪な生活環境の中で生きている。

 セブではラリー(デモ)に参加し、日本のODAに反対する人たちの連帯というものを肌で感じた。また、そのラリーにも参加していたコミュニティでのホームステイも経験した。

 ODAによる被害を受けて生活している人たちと話していると、日本から来た者としてとてもたいへんな重荷を担ったような気がする。実際にそこの人たちは「日本に帰ったらちゃんと見たこと、聞いたことを伝えてほしい」と訴えているのだから。そこで思い浮かべたのが、「必要なものをすべて満たしてくださいます」という言葉だった。この人たちから必要なものを奪い取り、不必要なものを作り、素朴な生活を壊している私たちの責任とは。知ってしまったからには、様々な場所と機会に自分が見たこと、聞いたことを話すしかない(または書くということ)。私たちは、毎年多くの人と出会い、つながりをつくっていく。
 
 新しい年を迎え、今年はどんな出会いがあり、つながりができるかと思うとわくわくする。そんな出会いやつながりを通して生徒たちに何を語ろう。キリスト教主義学校に勤める私たちは、礼拝や授業、宗教教育行事を通して生徒たちに語れる場所、機会に恵まれていると思う。

 今、日本で生きている私たちにとって本当に必要なものとは、今年も彼女たちと共に考えていきたいものである。

 今回あげた聖書の箇所は、本校の今年度の年間聖句である。

〈 プール学院中学・高等学校聖書科教諭〉

キリスト教学校教育 2003年1月号1面